【本当に住みやすい街、1位は尼崎】
7月10日、住宅ローン専門金融機関「ARUHI」による「本当に住みやすい街大賞 2018 in 関西」の発表会が行われた。順位は以下の通り。
1位 JR東海道線「尼崎」駅
2位 大阪市営地下鉄「本町」駅
3位 JR山陰線「二条」駅
4位 神戸市営地下鉄「学園都市」駅
5位 阪急伊丹線「伊丹」駅
6位 JR東海道線「桂川」駅
7位 JR東海道線「元町」駅
8位 京阪本線「香里園」駅
9位 阪急千里線「山田」駅
10位 大阪市営地下鉄「緑橋」駅
この順位は主催者であるARUHI社のもつ実際に住宅ローンを利用した方のデータを参考に選出されたもの。自身が選定委員をつとめており少し気が引けるが、「本当に住みやすい街」をうまく抽出できたのではないかと自負している。以下ではそのポイントを見ていきたい。
【人気エリア隣接は「コスパの高い街」】
10位の「緑橋」駅はJR大阪環状線「森ノ宮」駅から東へ一駅の環状線外側の立地で、住所は大阪市東成区。一方、「森ノ宮」駅から一駅西側(環状線内側)は「谷町4丁目」駅で住所は大阪市中央区。大阪市内は環状線の内と外で相場が大きく異るが、緑橋と谷町4丁目も例外ではなく緑橋周辺のほうが賃貸売買ともに安い。しかし、どちらも「森ノ宮」駅や大阪城公園が徒歩圏で「緑橋」は価格バランス的にはお得といえる。
9位の「山田」駅も同じようなことが言える。両隣の駅はそれぞれ「北千里」駅と「南千里」駅。どちらも千里ニュータウン内に位置する駅だ。かたや「山田」駅は東側一体が千里ニュータウンのエリア外で、すぐ北側に中国自動車道が通っていることもあり人気面では両駅に劣る。だが、その自動車道沿いにはモノレールが通り2線2駅利用可能な立地となり、徒歩圏であるエキスポランド跡にはショッピングモールやシネコン等のある大型複合施設エキスポシティができた。
8位「香里園」駅は大阪京都間だがJRや阪急線にくらべてマイナーな京阪沿線。6位「桂川」駅は市内中心部から外れるが2線2駅利用可能な京都市内。見方はいろいろとあるが「人気エリアの隣接エリア」に「オトクなエリア」がある。
【尼崎の人気が低いのは「イメージ」で「スペック」は高い】
1位はJR「尼崎」駅。尼崎市内の駅は、「住みたい街」ランキングで名前をみることはほぼない。住宅地としてのイメージが悪いからだ。西隣りの西宮市、芦屋市、そのまた隣の神戸市東灘区が、常に「憧れの住宅地」として非常に評価が高いことで損をしている面もあるものの、「治安が悪い」「空気が悪い」などと思われている部分もある。
たしかに昔はそうであった。尼崎市は南部を中心に工場が多い。中部や北部エリアにも住宅地内に多くの工場があった。しかし、今では市街地にある大規模な工場の多くはマンションなどに変わり、20〜30年で街の様子は大きく変わった。「ガラが悪い」についても、西宮や芦屋が「お上品な山の手の住宅地」という印象が強い「労働者の多い下町」として必要以上にイメージが先行している部分も大きい。実際、尼崎市にも閑静な一戸建ての町並みはあるし、西宮市にも町工場の多いエリアは多くある。
そのような先入観を除けば、快速利用で「大阪」駅に1駅5分の都心近接であり、駅前再開発/区画整理で歩道や公園が整備され、駅周辺にホテル・ショッピングモール等ができて以前とは景色が一変したJR「尼崎」駅周辺が、住みやすい街であることに異論はないであろう。「イメージ」は悪いが、「スペック」は高い。
住宅地の資産価値は、つまるところは「人が住みたいと思う」場所であるかどうかに尽きる。実需マンションはもちろん、投資用マンションであっても人が住まなければ売れないからだ。価格が高いか安いかは人気投票的な部分もあるので一概にはいえない。だが「コスパが安い」、言い換えれば需要に比べて価格が安いエリアにある・マンションは資産価値が保たれやすい。
「本当に住みやすい街」は「憧れの街」同様、資産価値のある街であるといえる。
※参考リンク
本当に住みやすい街大賞 2018 in 関西
https://www.aruhi-corp.co.jp/cp/town_ranking/2018_kansai/