田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第62号]京都市内中心部での新築物件は当分低調

2017年11月22日

【極端に少ない「中心部物件」】
京都市内中心部の新築分譲市場に活気がない。

「今、旬なマンション(※)」を見ても、ランキングに入っている全20物件のうち京都市内中心部、いわゆる「田の字エリア」界隈のマンションは「ブランズ京都御所西」「シエリア京都四条烏丸」の2物件のみ。しかも「ブランズ京都御所西」は2017年4月竣工の完成在庫だ。
 
他のマンションは伏見区、山科区等の中心部から外れた周辺部がほとんど。「プラネスーペリア京都西院」「シエリア京都西大路」「パデシオン西大路」は、中心部に近いものの人気エリアとはいいがたい。
 
このような状況となっている理由は簡単、マンションデベロッパーがこぞってホテル(or宿泊施設)事業に進出しているからだ。
 
【マンションデベ、相次いでホテル業に参入】
例えばコスモスイニシア。今年1月にアパートメントホテル事業に進出すると発表があり、現在「MIMARU(ミマル)」(https://mimaruhotels.com/ja-jp/)のブランドで堀川六角、新町三条、西洞院高辻の3物件の開発を京都で進めている。プレサンスコーポレーションも同様に四条烏丸、五条大宮でそれぞれ用地を取得している。いずれも絶好の「分譲マンション立地」な住宅地であり、5〜6年前であればホテルが建つなど思いもよらなかったであろう場所だ。
 
両社ともにグループ会社で各種事業を行っているが専業デベロッパーとしてのイメージが強く、宿泊施設運営に関しては他社と比較優位に立てるほどのノウハウを持っているとも思えない。しかし現在の京都市内中心部は「ホテルのほうが儲かる」から開発を進めているわけだ。
 
ほかにも、NTT都市開発、関電不動産開発、ユニホー、マリモといったデベロッパーがホテル開発を手がけている。
 
もちろん三井不動産や三菱地所等以前からグループ・系列会社でホテル運営を行っている企業は、用地の手当ができれば分譲マンションではなくホテル開発をすすめる。老舗から新参までが入り混じり、京都市内中心部の開発地は「すべてホテル」といった様相になっている。
 
【京都市内の新築は、周辺部狙いで】
現在、京都市内中心部の土地価格は、分譲マンションの収支では到底見合わないようなレベルまで高騰している。多少の下落はあったとしても、分譲マンションでも収支が合うようなレベルまで短期間に下がるとは考えにくい。
 
京都市内で新築マンションを購入するならば、中心部を外した周縁部で選ばなければならいような状況は当分変わりそうもない。
 
 
 
※マイページ登録数(2017/11/18 01:15 更新、30日間、京都エリア)
 

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この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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