田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第32号]中古マンション流通量が多いエリアが変化!~関西中古市場トレンド

2016年08月24日

「住まいサーフィン」で「駅別中古売出数ランキング」( https://www.sumai-surfin.com/k/201607/stationChukouridashi/?utm_source=ss&utm_medium=columnTanaka&utm_campaign=chukoUridashi )が発表された。

このランキングでは、2015年5月から2016年4月の間で売り出された中古マンションの数、前年事例数、前年比増減を確認できる。対象となる駅は直近1年の事例数が15件以上の駅で、首都圏905駅、近畿圏368駅の順位が掲載されている。

成約マンション数ではなく売出マンション数なので、事例数が前年と比べて増えたから「人気のある駅」だとは一概に言えない。もしかすると売出マンション数が多い駅は「人気がなく売りマンションが増えた」のかもしれない。だが事件や事故、災害が起きたエリアの駅ならばともかく、たった一年の変化で「人気がなく売りマンションが増えた」とは考えにくい。「近くに新築マンションが供給された(=買い替える人が増える)」等と考える方が無難だ。また「前年比増減」ではなく「事例数」が多いことは、中古市場が充実しているエリアと考えられる。

以下では、前年と直近1年を比べて事例数の多いエリアがどう動いたかを見てみたい。

その前に抑えておきたいのは、前年と直近1年とを比べて、そもそも事例数が大きく増えていること。前年事例数が13,500件であるのに対して直近事例数は15,596件。約16%増加している。事例数が100%以上、すなわち倍以上となった駅も368駅中の約14%に当たる52駅もある。また、事例数が100件以上の駅も11駅から20駅とこちらもほぼ倍増だ。

ではそのような市場において、エリアごとに特徴はあるか?数字を見たところ、売出マンションがどのエリアも一様に増えているのかというとそうではない。大きく偏りがある。

事例数100件以上の駅、前年の11駅のエリアの内訳は北摂3駅(豊中市2駅、吹田市1駅)、阪神間4駅(尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市東灘区各1駅)、神戸市以西1駅(神戸市中央区)、大阪市内1駅(大阪市福島区)、その他2駅(宝塚市、枚方市)だ。

このエリア分布、直近1年では大きく異なる。事例数100以上の駅20駅中半数以上の13駅が大阪市内(都島区2駅、福島区2駅、北区1駅、西区3駅、中央区3駅、天王寺区1駅、浪速区1駅)なのだ。1駅から13駅に増加とは、正直集計していて驚いた。

たくさんの売りマンションが出る駅が増えた理由は、もちろん、大阪市内の人気低下とは考えにくい。市内中心部のマンション供給が増え、それに伴い積極的に買い替える人や市況の活況に合わせて売却を考える人が増えたと考えられる。

また、全体で16%も売出マンションが増えているにもかかわらず、北摂(3駅→1駅)や阪神間(4駅→3駅)の駅数が減っているのも注目したい。

冒頭にも述べたが、売出マンションの数と人気の有無に相関関係があるかどうかは別のデータも合わせてみないとわからない。ただ、売出マンションが多いということはマーケットが大きいということであり、流動性が高い、言い換えれば売買がしやすい市場であると考えることはできる。

さて、皆さんのお住まいの地域/駅はどのような動きとなっているであろうか?
詳しくは「駅別中古売出数ランキング」のページを確認いただきたい。


■近畿圏の「駅別中古売出数ランキング」はここから
近畿圏368駅の年間の中古売出数ランキングは、以下ページから確認できる
https://www.sumai-surfin.com/k/201607/stationChukouridashi/?utm_source=ss&utm_medium=columnTanaka&utm_campaign=chukoUridashi

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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