田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第12号]マストタワー安堂寺

2015年10月28日

【ゆったりとした街並のタワーマンション】
大阪市中央区安堂寺町。長堀通の北側、谷町線を挟んで東西に長く伸びる。直木賞の由来でもある作家、直木三十五の生まれた町だ。店舗や事務所ビル、そして住宅が混在するエリアであり、2階建ての古い家屋も散見される。梅田や難波、天王寺と比べると、少しゆったりと空気が流れているような感じがする街並だ。その長堀通の北側を歩くと、歩道から数メートルの引きがあるマンションがある。建物と道路の間の敷地には手入れされた植栽が植わる。そこは「マストタワー安堂寺」のエントランスである。

【周囲に違和感を与えない落ち着いた意匠】
周囲にはタワーマンションはもちろん中高層のマンションも少なく、遠くから見ると「マストタワー安堂寺」はひときわ目立つ。南向き3スパンの地上32階建て。かなり細長いフォルムであり、遠目からはかなり目を引く建物だ。しかし、近くまで寄ってみると印象はがらりと変わる。周囲によく馴染んだマンションだ。彩度を低く抑えた外観は主張が少なく、黄土色もしくは木目に近い色は南面の植栽ともマッチしている。エントランス前を通り過ぎただけではタワーマンションとはわからないであろう。

【歴史の深みを感じられるマンション】
「マストタワー安堂寺」は二方道路の敷地で、車は北側から出入りする。その北側は南側よりも数メートル程度敷地が高い。上町台地の高低差だ。この高低差がよくわかるのはマンションを少し西側に進んだあたりの南北の通路。南から北への登り階段となっている。階段を上りきったあたりに祠と大きな木が一本。樹齢約650年といわれるその木は「榎大明神」。近所の人に親しまれている。マンションから1分程しか離れないこの空間はまるで江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気。そんなスポットに隣接していながら、買物施設や医療施設等が充実、大阪市営地下鉄谷町線「谷町六丁目」駅(徒歩2分)など2線3駅利用可能である「マストタワー安堂寺」。大阪の歴史の深みを感じることができるマンションである。


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この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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