田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第34号]大阪府基準地価に見る、今後の不動産相場の方向性

2016年09月28日

つい先日、2016年7月1日現在の基準地価が発表された( http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5113/00017633/280920.pdf )。商業地については全体でプラス4.7%。多くの地点で地価が上昇し、10%超上昇した地点も多くあった。一方で、住宅地については0.0%で3年連続の横ばい。商業地のような上昇の動きはなかった。
しかしそれはあくまで平均値の話であり、エリアごとに分解してみると大変わかりやすい傾向が見て取れた。住宅地の二極化傾向だ。

2009年以降5年連続で前年比マイナスであった住宅地の地価は、ここ3年は連続して前年比0.0%、すなわち横ばいなのだが、横ばいになったのは都心部の地価が上昇したからであり、郊外部の地価は一貫して下落している。2009年以降2013年までは大阪市/北大阪/東部大阪/南大阪の全てのエリアが下落していたが、「横ばい」となった2014年以降は3年連続して大阪市と北大阪が上昇、東部大阪と南大阪が下落という結果が出ている。

細かく市町村ごとにみると、エリア内でも上昇下落が混在している。例えば、総じて上昇しているエリアでも大阪市内の此花区/大正区、北大阪の摂津市といった住宅地としての人気に乏しいエリアは下落している。また、下落エリアでも東部大阪の枚方市、泉州地域の堺市/高石市等の住環境の良さが評価を受けているエリアは上昇している。

さらに、同一行政区でも上昇下落の明暗が見える。例えば、池田市は「平成28年大阪府地価調査上昇率順位表」と「平成28年大阪府地価調査下落率順位表」の双方に基準地が掲載されている。阪急「池田市」駅にほど近いエリアである城南と室町はそれぞれ5.2%、5.1%上昇である。一方、バス便エリアである中川原町と伏尾台はそれぞれ5.4%、4.5%の下落。この下落率は大阪府下の住宅地で1位と2位だ。大阪府発表の資料に書かれているように、「『利便性に優れる徒歩圏内の住宅地』で地価が上昇傾向にある一方で、『利便性に劣る徒歩圏外の住宅地』で下落傾向が続いており、住宅地の二極化傾向が見られる。」

これからは関西圏(には限らないであろうが)の不動産については、バブル時やバブル崩壊時のように「どこでも上昇」「どこでも下落」ではなく、交通利便性/生活利便性が高いエリアの不動産とそうでない不動産の格差がさらに広がり、利便性の低いエリアについては上昇する可能性は低いであろう。

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この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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