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住まいサーフィン編集部

窓断熱の重要性と効果について解説!快適な住環境を手に入れる方法

2024年12月09日

更新日最終更新日:

窓断熱の重要性と効果について解説!快適な住環境を手に入れる方法

近年、電気代の高騰などにより住宅の省エネ化が話題となっています。特に冬場は「部屋がなかなか暖まらない」「窓から冷たい空気が入ってきて寒い…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?

断熱はまず窓からと言われるほど、窓断熱は快適な室内環境づくりに大きな影響を与えます!

しかし、窓断熱において日本は世界に比べて後進国であるともいわれており、重要性が広まっていないのが現状です。窓断熱についてよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、窓断熱の重要性、自宅で簡単にできるDIYからリフォームの内容、補助金制度などについて詳しく解説します。

この記事の編集者

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1.窓断熱とは?基本知識と重要性について

はじめに、断熱や窓断熱の基本的な知識について解説します。

窓断熱とは?

そもそも断熱とは、熱の移動を遮断して室内の温度を一定に保つことです。断熱性能を高めることで、夏は涼しく・冬は暖かいという快適な住環境が実現します!

窓断熱とは、窓からの熱の出入りを抑えて、室内を一定温度にコントロールする方法です。

具体的には「断熱性能の高い窓ガラスやサッシにリフォームをする」といった方法があります。窓断熱リフォームについては「4.窓断熱リフォームの種類と補助金について」で解説しています。

また、断熱性の低い窓の場合は冬になると結露が発生してしまいます。冬場の結露対策については「3.冬の結露対策!簡単にできる窓断熱DIY」をご覧ください。

なぜ窓断熱が重要なのか?

住宅の中で、熱の出入りが最も多い箇所は窓などの開口部となっています!

冬は室内の暖かい空気が外に逃げ、夏は外の熱気が室内に入りやすくなってしまうのです。

開口部からは、冬の暖房時は58%の割合で熱が流出し、夏の冷房時(昼)は73%の割合で熱が入ってくるというデータもあります。

開口部
(参考:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会 https://www.kensankyo.org/syoene/qanda/mado/a_9.html)

窓の断熱性能を向上させることは、室内環境を快適に保ち、エネルギー消費を抑えるために必要不可欠といえるでしょう。

しかしながら、日本は昔から「高温多湿で温暖な気候である」という先入観から、風通しの良い家づくりが理想とされてきました。そのため、窓断熱については世界各国と比較して遅れをとっているのが現状です。

窓の断熱性能を表すU値(熱貫流率)という基準がありますが、数値が小さいほど断熱性能が高くなります。

世界各国の断熱基準を比較してみると、日本はU値の数値が大きく断熱性が低いという結果になっています。

開口部
(画像出典:YKKAP https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/products/articles/pvc-windows/history/)

近年は、日本の気候が大きく変化したことや「2050年までにカーボンニュートラル※を目指す」という国の宣言もあったことから、断熱をはじめとする省エネ住宅の推進が急激に進んでいます。(※温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること)

さまざまな省エネ方法の中でも、窓断熱は大きな省エネ効果が期待できるため重要度が高いといえるでしょう。

特に、築年数の経った住宅は断熱性の低い窓であることが多いので、窓断熱リフォームの検討をぜひおすすめします。

2.窓断熱で得られる効果・メリットは?

窓断熱で得られる具体的な効果や主にメリットは次のとおりです。それぞれ順番に説明します。

  • ① 季節を問わず室内の温度が保たれる
  • ② 光熱費を削減できる
  • ③ ヒートショックや熱中症対策にもなる

① 季節を問わず室内の温度が保たれる

窓からの熱の出入りを抑えることで、冬は暖房効果を高め、夏は冷房効率を向上させます。

窓断熱を行うことで、季節を問わず快適な室内環境を維持することができます!

② 光熱費を削減できる

熱の出入りが減少すると、暖房や冷房にかかるエネルギーが抑えられ、省エネ効果が高くなります。

結果として、毎月の光熱費が削減され、長期的には大きな節約効果を期待できます!

実際にどのくらい光熱費が削減できるかは、さまざまな要因(住んでいる地域や断熱方法による)がありますが、シミュレーションの全国平均では、戸建住宅で2.6万円(年間)、集合住宅で1.2万円(年間) 削減できるという結果が出ています。

(参考:先進的窓リノベ2024事業について https://www.env.go.jp/content/000211402.pdf)

③ ヒートショックや熱中症対策にもなる

窓断熱は、ヒートショック対策や熱中症対策としても注目されています。

ヒートショックとは、温度の急激な変化によって血圧が大きく変化し、心臓や血管の疾患が起こることです。特に冬場、暖かい部屋から寒い浴室に行くときなどは注意が必要といわれています。

また、近年は夏の記録的な猛暑が続いており、室内にいても熱中症にかかるリスクが高くなっています。

窓断熱をすることによって室内の温度を一定に保つことになり、ヒートショックや熱中症などのリスクを軽減することができます!

ヒートショックや熱中症は、特に高齢者がかかるリスクが高いです。高齢者は築古住宅に住んでいるケースも多いと考えられるため、窓断熱リフォームの必要性が高いといえるでしょう。

3.冬の結露対策!簡単にできる窓断熱DIY

マンションでも戸建てでも、冬場は結露に悩む方が多いと思います。

「リフォームをするには少し勇気がいる」という方は、まずは簡単なDIYから結露対策を始めてみるのもよいかもしれません。

結露が発生する原因

結露

結露は室内と外気の温度差があるところにできてしまいます。

住宅の中で結露ができやすいところといえば、真っ先に窓ガラスやサッシ部分が挙げられます。

冬場は特に、暖房などで室内を暖かく保つため、窓ガラスが冷やされて結露が発生しやすくなります。

結露を放置してしまうとカビやダニが発生し、喘息やアレルギーの原因にもなってしまうので対策が必須です!

結露対策・窓断熱のDIYを紹介

ここからは簡単にできる結露対策・窓断熱のDIYについて、3つの方法を紹介します。

  • ① 断熱シート
  • ② 断熱カーテン
  • ③ 断熱ボード・パネル

① 断熱シート

断熱シートは、窓ガラスやサッシに貼ることで外気の冷たさをシャットアウトし、結露を予防することができます。

ホームセンターなどで簡単に入手できるのでDIY初心者でも気軽にできます。種類や貼り方がさまざまなので、一部代表的なものをご紹介します。

種類 特徴
フィルム(ミラー) ラップの2倍程度の厚みの透明フィルム。
2重窓の構造をつくることで断熱になる。
紫外線をカットする効果もあるので通年おすすめ。
気泡緩衝材 いわゆる「プチプチ」のような厚みのあるシート。
室内から冷暖房の効果を逃さない効果がある。
厚みがあるので冬場におすすめ。
貼り方 特徴
シール シールで接着するため、慎重に作業する必要がある。
気泡緩衝材なら、気泡が入っても目立たない。
水貼り 窓とシートに水をかけることで接着させる。
簡単にはがすことや貼り直しもできる。

冬の結露対策として断熱シートを利用するのであれば、厚みがある断熱シート(目安5mm以上)を試してみるのがおすすめです。

② 断熱カーテン

断熱カーテンは、通常のカーテンよりも厚手で特殊な素材が使われています。窓ガラスとカーテンの間に空気の層が作られることで保温が可能になります。

カーテンレールに取り付けるだけで使用できるので、インテリアを大きく変えずに済むのもメリットです。

保温性能・遮熱性能の両方の性能が高いカーテンであれば、夏も冬も快適な室温を保つことができます。

③ 断熱ボード・パネル

断熱ボードやパネルは、窓枠に立てかけることで冷たい空気の侵入を防ぎます。

アルミや発泡スチロールを素材とするものが多く、軽量で取り扱いやすいのが特徴です。窓の形状や大きさに合わせてカットすることができ、取り外しも簡単です。

4.窓断熱リフォームの種類と補助金について

結露対策・窓断熱のDIYを紹介」で挙げた対策は簡単にできますが、効果が一時的である場合、もしくは全く効果が得られない場合もあります。

そういった場合は、窓断熱のリフォームを検討してみましょう!

窓断熱のリフォームについては補助金が利用できる場合があり、以下の4つのリフォームは補助金の対象になっています。(2024年度の実績)

  • ① ガラス交換
  • ② 内窓(二重窓)の設置
  • ③ 外窓交換
  • ④ ドア交換

それぞれのリフォームの内容や断熱効果について、順番に解説します。

① ガラス交換

既存の窓枠(サッシ)をそのまま利用して、窓ガラス部分を交換する工事です。

断熱性の高いガラスにはいくつかの種類がありますので、それぞれの特徴を紹介します。

複層ガラス(ペアガラス・トリプルガラス)

ガラスの間に空気層を含ませたガラスのことです。空気層があることで、熱の伝導率を下げる効果があります。ガラスが2枚の場合はペアガラス、3枚の場合はトリプルガラスと呼ばれます。

特に冬の結露対策に効果的で、最近の新築住宅では標準で使用されていることが増えています。

ペアガラスのメリットやデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

ペアガラスで省エネ!メリットとデメリットを解説!

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Low-E複層ガラス(エコガラス)

複層ガラスと構造は同じですが、ガラスを「Low-E膜」という特殊な金属膜で覆っているものです。複層ガラスよりも断熱性能が高くなります。

Low-E複層ガラス
(画像出典:AGC https://www.asahiglassplaza.net/contents03/ecoglass/)

AGC(株)・日本板硝子(株)、セントラル硝子(株)の3社が製造販売するLow-E複層ガラスはエコガラス」という共通呼称が用いられています。

また、日射取得型と日射遮蔽型の2種類があります。どちらも断熱性が高いですがそれぞれ特徴が異なります。

  • 日射取得型:日差しをたっぷり取り入れて部屋を暖かくするタイプ
  • 日射遮蔽型:断熱性と日射遮蔽のバランスが取れているタイプ

日射遮蔽型は、強い西日を遮る効果もあります。部屋の向きによってどちらのタイプかを選ぶと良いでしょう。

真空ガラス(スペーシア)

真空ガラス「スペーシア」は、日本板硝子(株)が世界で初めて商品化した高断熱ガラスです。

2枚のガラスの間に真空層をつくることで今までにない断熱性能を実現したものです。1枚ガラスに比べて約4倍~5倍、一般的な複層ガラスの約2倍の断熱性能があります。

ガラスの表面温度が下がりにくいので、特に冬場の結露を防ぐ効果に優れています。

真空ガラス
(画像出典:真空ガラス スペーシア https://shinku-glass.jp/product/st/)

② 内窓(二重窓)の設置

内窓の設置とは、既存窓の内側に新たな窓を取り付けて二重窓にする方法です。または、既存内窓を取り除いて新たな内窓に交換する工事をいいます。

補助金の対象となる工事は「外皮部分に位置する既存外窓(ドア)の開口面から屋内側へ50cm以内に平行に設置するもの」に限ります。※開口面とは、外窓やドアを設置するために外壁に空けられた開口に対して周囲の壁面を延長してできる面

内窓
(画像出典:先進的窓リノベ2024事業 https://window-renovation2024.env.go.jp/construction/inner-window.html)

内窓(二重窓)を設置すると、窓ガラスそのものが2枚ある状態になります。窓ガラスが2枚になることで、断熱性だけではなく防犯対策や防音効果なども期待できます。

③ 外窓交換

外窓とは、室内と室外を隔てている一般的な窓のことを指します。

外窓は壁と一体になっているため、場合によっては壁を壊して窓枠(サッシ)から取り外す必要があります。

窓枠の交換では、アルミサッシなど断熱性の低い窓枠から、樹脂サッシなどの断熱性の高い窓枠への交換が行われることになります。

これまで日本の建物はアルミサッシの窓枠が多く利用されてきました。他の素材よりも安価で耐久性が高いといった理由からです。

しかし、アルミサッシは他の素材と比較すると、断熱性が非常に低いです。金属でできているため熱伝導がよく、外気の温度が室内に伝わりやすいというデメリットがあります。

窓ガラスと合わせて窓枠が新しくなると断熱性能が大幅にアップし、光熱費の節約や結露の防止にも効果的です!

最新の「樹脂サッシ+ダブルLow-Eトリプルガラス」の場合は「アルミサッシ+1枚ガラス」と比較すると、断熱性能が約7倍も上がります。

外窓交換
(画像出典:YKKAP https://www.ykkap.co.jp/consumer/products/articles/4856)

交換方法には「カバー工法」と「はつり工法」の2種類があります。

カバー工法とは、窓ガラスを取り外し既存の窓枠の上から新たな窓枠をカバーする工事です。

壁を壊す必要がないため大掛かりな作業にならず、最近は主流となっている方法です。費用や工事期間も削減できます。

カバー工法
(画像出典:先進的窓リノベ2024事業 https://window-renovation2024.env.go.jp/construction/outside-window-co.html)

はつり工法とは、窓ガラスと窓枠を取り外して新たな窓枠を取り付ける工事です。

カバー工法とは異なり、外壁を壊すところから行います。万が一、壁に腐食があった場合に発見・補修ができるというメリットもあります。

はつり工法は、カバー工法よりも大掛かりな工事のため、費用や工事期間がかかってしまうことがあります。

はつり工法
(画像出典:先進的窓リノベ2024事業 https://window-renovation2024.env.go.jp/construction/outside-window-ha.html)

④ ドア交換

窓だけでなく、ドアの交換も先進的窓リノベ事業の対象になっています。

ドアについては「住宅の外皮部分にある開口部に設置する建具のうち、屋外から施錠できる建具」と定義されているので、外と接している玄関ドア勝手口ドアが対象です。

ただし、ドア交換は窓の工事と同時に申請した場合のみ補助金の対象になるので、ご注意ください。

リフォームで補助金が出る場合も

現在、国の省エネキャンペーンでは4つの事業が行われています。そのうちの1つである「先進的窓リノベ」という事業において、窓断熱の推進が進められています。

窓断熱のリフォームでは補助金を利用することができ、2024年度では最大200万円までの補助が可能となっていました。2025年度も、引き続き補助金制度を実施する予定です。(2024年12月現在)

制度の詳細は変わる場合がありますが、国で住宅の省エネ化が強く推進されているため、今後も毎年実施されると考えられます。

「先進的窓リノベ」の制度の詳細については、こちらの記事で解説しています。

先進的窓リノベ事業とは?条件や対象工事を解説!

最新の先進的窓リノベ事業の内容や条件について解説します。

また、窓のリフォームの費用や相場などについては、こちらの記事で解説しています。

窓・サッシ断熱リフォームで快適な暮らし!費用やメリットデメリットを紹介

窓・サッシ断熱リフォームで快適な暮らし!費用やメリットデメリットを紹介

5.まとめ

今回の記事では、窓断熱の重要性や窓断熱リフォームなどついて解説しました。

世界的にも省エネやカーボンニュートラルが重視されていますが、日本の住宅市場においても今後重要になるのが省エネ性能の高い住宅です。

新築住宅だけでなく、中古住宅でもリフォームをすることで断熱性能を上げることができます

国や自治体もさまざまな補助金制度で、省エネ住宅をバックアップしています。制度が充実している今こそ、断熱リフォームをするチャンスといえるでしょう。

省エネ住宅の重要度は理解できたし、今なら補助金ももらえる。いざ行動しよう!とした皆さんは、以下のように思われたのではないでしょうか?

  • 補助金の仕組みが複雑すぎて、何をどうしたら良いか分からない
  • ● 補助金はもらいたいが、仕組みを理解するために学ぶ時間が取れない
  • ● 業者に騙されたニュースを聞いたことがあり、少し怖い
  • ● 実際にどの業者を選べば良いのか分からない

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