編集部厳選!マンション知識最前線!? 不定期
住まいサーフィン編集部

内壁断熱施工のポイントと注意点!

2024年09月05日

更新日最終更新日:

内壁断熱施工のポイントと注意点

『夏は涼しく、冬は暖かい』そんな理想的な家を実現するために欠かせないのが断熱材です。
外気温の影響を受けにくくし、室内の温度を一定に保ちやすくするための重要な工法です。
今回はその中でも内壁に施工する断熱材の特徴や注意点についてみていきましょう。

この記事の編集者

住まいサーフィン編集部

1998年開設、マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト「住まいサーフィン」が運営。
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有し、不動産の専門知識を持つスタッフが自宅売買に役立つ情報を発信します。
売り手と買い手の情報格差が大きい住宅業界。
自宅購入で後悔する人を減らすため、業界の専門知識・データを分かりやすくお届けします!

note:@sumai_surfin
Twitter:@sumai_surfin
Instagram:@sumai_surfin
Youtube:@sumai_surfin

1. 内壁断熱、外壁断熱の基本知識

そもそも断熱とは何でしょうか?

断熱とは外気の熱を遮断し、建物内部の温度をなるべく一定に保ち快適な環境を作ることを言います。
断熱性能を高めることで夏は涼しく、冬は暖かい環境が実現します。快適な生活を送るうえで、断熱対策は欠かせないものです。

もし壁の断熱性能が低いと・・
外気温が内部に伝わりやすく、冷暖房が効きにくく、快適な温度を保ちにくい状態となります。

壁断熱を行うことで下記のようなメリットが挙げられます。

  • ● 室温が変化しにくく快適に過ごせる
  • ● 冷暖房費を削減できる
  • ● 結露が発生しにくくなる

壁断熱の方法には内壁に施工を施す『内壁断熱』と建物の外側を断熱材で覆う『外壁断熱』があります。
まずはその工法の違い、特徴についてみていきましょう。

内壁断熱とは?

内壁断熱とはその名前の通り、住宅の壁の内側に断熱材を埋め込む施工方法です。
内壁断熱は柱と柱の間(柱の内側)に断熱材を設置する工法で、外壁に影響がありません。

断熱材は柱の間に挿入して断熱層をつくり、夏場は外気の熱を、冬は外の冷気を室内に伝わるのを防ぎます。
断熱材にはプラスチック素材や天然素材を使用し、気密性を高めることで室内の温度を快適に保ちます。
内壁断熱材は、住宅の快適性やエネルギー効率を高めるために非常に重要です。

内壁断熱は外壁断熱と違って、柱の間に断熱材を敷き込むため外壁が厚くなりません。
ですので、都会などの狭小地でもデザイン性を損なわずに断熱施工を行うことが可能です。

また、外断熱に比べて、コストが低いのも特徴の一つです。
内壁断熱は木造住宅で主流の工法です。

内壁断熱

外壁断熱との違い

外壁断熱は建物全体を断熱材で覆う工法のことです。
全体を断熱材で覆うので気密性はより高くなります
建物の内側と外側の温度差が小さくなるので、冬でも結露が発生しにくいというメリットがあります。
また、コンクリート建物の外側を断熱材で包むことで、強烈な日差しや寒さから守られ、コンクリートの蓄熱効果で夏涼しく、冬暖かい状態を保つことができます。
冷暖房効率が良く、省エネになるため、CO2発生の抑制にもつながります。

ただし、デメリットもあります。
1つは外壁が厚くなることです。壁の外側に断熱材で覆うので、敷地や間取りに余裕が必要です。
また、建物全体に施行を施すため、施工コストが高くなる傾向があります。

外壁断熱

2. 内壁断熱・外壁断熱のメリットとデメリット

内壁断熱と外壁断熱のメリットとデメリットを下表にまとめました。

  メリット デメリット
内壁断熱 ・外壁が厚くならず狭小地でも施工可能
・施工費用が比較的安い
・昔ながらの工法のため技術面でも安心
・外壁断熱に比べて気密性が低い
・気密性の低さから結露が発生しやすく内部結露に注意が必要
外壁断熱 ・建物全体を覆うため気密性が高く結露が発生しにくい ・外壁が厚くなる
・全体を覆うため施工費が高くなる

内部結露とは

断熱材はただ多く敷き詰めれば断熱効果が上がるというわけではありません。
断熱材の取り付け方を誤ると、家の寿命を縮めかねない「内部結露」という状況を引き起こします。
内壁断熱を施工する際に特に気を付けておきたいのが「内部結露」です。

結露の発生

内部結露は夏でも、冬でも起こります。
水蒸気圧の関係で夏は屋外から屋内へ、冬は屋内から屋外へと暖かい空気が移動します。
「内部結露」は水蒸気を蓄えた暖かい空気が壁(断熱材)の内部に侵入し、水蒸気を含むことができる限界の温度を下回った場所で発生します。

内部結露

内部結露により断熱材が腐ると、やがて柱や土台を腐らせる原因になります。柱や土台が腐ると、建物に必要な強度が失われ、大きな地震が起こるとひとたまりもありません。 

「内部結露」を防ぐため、壁の内側に水蒸気が進入して結露を引き起こさないよう、防湿シートを室内側に張り込むことが重要となります。

3.断熱材の種類と特徴

次に断熱材の種類について見ていきましょう。
断熱材にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。下表にまとめてみました。

断熱材の種類

種類 主な材質 特徴
無機繊維系 グラスウール グラスウールはガラスを溶かし繊維状に加工したもので比較的安価、経年変化が少なく、耐久性が高く、防音効果あり、湿気対策は必要
ロックウール 溶かした鉱物を繊維状にした素材で火に強く燃えにくく、撥水性が高い、湿気対策は必要
木質繊維系 セルロースファイバー 古紙などをリサイクルし、綿のように加工された素材で吸湿性、耐火性が高く防音効果もある、価格は高い
ウッドファイバー 木材から作られた自然素材で、吸音性や調湿性、防火性、防カビ性にも優れている、価格は高い
天然素材系 羊毛 羊の毛を使った断熱材、防虫効果が高く、吸放湿機能があり、断熱性も高いが価格は高い
炭化コルク コルクを炭化させて作った断熱材、調湿効果が高く、吸音性も高い、防虫効果もあるが価格は高い
発泡プラスチック系

ポリスチレンフォーム

ポリスチレン樹脂で構成されており、断熱性の他に、防水性や防湿性にも優れており、長期間安定して断熱材として使用可能、熱には弱い

ウレタンフォーム

ポリウレタン樹脂を原料に作られていて、断熱性能の高さが特徴、価格が高く、万が一燃えると有毒ガスが発生する

フェノールフォーム

フェノール樹脂を原料に作られていて、断熱性能が非常に高い、湿気や水分にも強く耐熱性能も高い、価格が非常に高い

人気の内壁断熱材とその特徴

特に近年では、環境に配慮した素材や高性能な製品が注目されています。
以下に、今おすすめの内壁断熱材をいくつかご紹介します。

1. セルロースファイバー

リサイクル紙を原料とし、環境に優しい断熱材です。吸音性にも優れており、音の問題を軽減できます。さらに、防音性や防火性にも優れているため、多くの住宅で採用されています。

2. グラスウール

ガラス繊維を使用した断熱材で、耐火性と断熱性に優れています。断熱性能が高く、コストパフォーマンスも高いため、多くの住宅で使用されています。また、施工が比較的容易であり、リフォームにも適しています。

3. ポリスチレンフォーム

高い断熱性能を持ち、施工が簡単です。特に気密性を求める場合に最適です。発泡させて使用するため、細かい隙間にも充填可能で、気密性が非常に高いです。そのため、エネルギー効率を最大化したい場合に最適です。

これらの断熱材は、それぞれ異なる特徴を持っており、使用する場所や目的に応じて選ぶことが重要です。
適切な断熱材を選ぶことで、快適な住環境を実現し、エネルギーコストの削減にもつながります。

4.断熱材の施工方法

断熱工法の違いとその特徴

壁の断熱施工の方法には「充填断熱工法」「外張り断熱工法」「吹込み断熱工法」の、3つの工法があります。
それぞれの工法について説明します。

充填断熱工法
特徴 壁の中の柱と柱の間に断熱材を充填する方法です。
グラスウールやセルロースファイバーなどが使用されます。
メリット 比較的施工費用が安く、使用できる断熱材の種類が多いです。
デメリット 隙間ができやすく、また厚みが均等になりにくく、施工の際に技術が必要です。
外張り断熱工法
特徴 建物全体を外から断熱材で覆う方法です。主にボード状の断熱材が使用されます。
メリット 気密性が高まり、結露が起こりにくいです。
デメリット 屋外の気象的影響を受けやすいため、経年劣化が起こりやすいです。
また充填断熱工法と比べるとコストが高くなりやすいです。
吹込み断熱工法
特徴 粒上にした断熱材を専用の機械で壁の間に吹き込み隙間を埋めていく方法です。
グラスウールやセルロースファイバーといった繊維系のものを使用します。
メリット 気密性が高くなります。
デメリット 耐水性に弱く、施工に特別な技術が必要です。

内壁断熱施工の注意点

内壁断熱施工時の注意点です。

【隙間の管理】 断熱材を施工する際には、隙間ができないように注意することが重要
隙間があると断熱性能が低下します。
【適切な厚み】 断熱材の厚みを均等に保つことも重要
【内部結露への対策】 防湿シートを室内側に張り込み結露を発生しない状態にすることも重要

断熱材、さらには工法のそれぞれの特徴を理解し、住まいの種類や予算に応じて最適なものを選ぶことが重要です。

5.内壁の断熱リフォーム

つづいて、内壁断熱のリフォームを行った場合についてみていきましょう。
内壁断熱リフォームでは「内側に断熱材を敷き詰める方法」や「内壁に断熱パネルを貼る方法」などがあります。

内側に断熱材を敷き詰める方法

リフォーム費用は1㎡につき1万円前後

一度既存の壁を剥がしてから内側に断熱材を敷き詰める施工です。
一般的な断熱リフォーム費用の相場は、壁の解体撤去費用、再仕上げ費用を含めて、約100万~150万円(延床面積約120m2の家の場合)程度かかります。

内側に断熱パネルを貼る方法

リフォーム費用は6畳2面の壁で10万~と低価格

壁紙を剥がしたむき出しの壁の内側に、リフォーム用の断熱ボードをビスや接着剤で取り付けるだけの施工です。断熱ボードの上から壁紙を貼り直せば完成です。
断熱材は、グラスウール、発泡系断熱材、真空断熱材などがあります。
この中でもグラスウールは価格が安く、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。

工期が短く、住人が家に住みながら施工できます。
住居の一部分だけ、という施工もでき比較的手軽にできるのが魅力です。

6.まとめ

この記事では外壁断熱と比較しながら内壁断熱についてみてきました。
壁断熱についてのポイントはおわかりいただけましたでしょうか?

住宅を建てる時、快適に過ごす断熱施工は欠かせません。
内壁断熱にするのか、外壁断熱にするのか、そのメリット・デメリットをよく理解し、その家に最適の工法を選択できるといいですね。

すでにお住いの住宅でも断熱リフォームをお考えの方もいらっしゃるでしょう。国や自治体がさまざまな補助金制度でバックアップしているのであれば、リフォームを前向きに検討されている方もいるかもしれません。

補助金を使ってリフォームしたい!と感じた皆さんは、同時に以下のようにも思われたのではないでしょうか?

  • 補助金の仕組みが複雑すぎて、何をどうしたら良いか分からない
  • ● 補助金はもらいたいが、仕組みを理解するために学ぶ時間が取れない
  • ● 業者に騙されたニュースを聞いたことがあり、少し怖い
  • ● 実際にどの業者を選べば良いのか分からない

当サイト住まいサーフィンの会員からも同様の声を数多く頂戴しているので、これらを解決するためのノウハウを沖有人に相談できる沖サロンにて特別にお教えすることにいたしました。
※沖への相談サービスは住まいサーフィンの会員限定です。

代表の沖が補助金に関して体系的に解説した動画を特別に公開いたしますので、是非ご覧ください。

▼動画を確認する

会員登録は無料です。退会も簡単に出来ますので、まずは気軽に会員登録してみてください。