田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第184号]10年に一度の大雪に思うこと

2023年01月25日

10年に一度とも、50年に一度とも言われている寒波が日本を襲っている。筆者がこの文章を書いている時点では列車の遅れや運休、警報の発令等はあるものの大きな災害は顕在化していない。大きな事故やトラブルがなければと願う次第だ。

地球温暖化やヒートアイランド現象で夏の暑さがニュースなどで取り沙汰されることは多いが、日本には四季があり冬の寒さも厳しいものがある。筆者の住む関西地方はそれほど積雪が多くはない。それでも場所によっては積もるし、寒い年には市街地に積もることもある。

子供の頃は雪が降れば楽しかったものだが、大人になると電車が遅れ大事なアポに間に合わない、出社ができない、車移動ができないなどと不便に感じることの方が多いのではないか。そんな寒さによる不都合、色々な場所で定期的に起きている。

■芦屋の山の手住宅地
 芦屋市の北部山間部に奥池と呼ばれるニュータウンがある。ニュータウンといっても一般的なニュータウンとは違い大きな敷地の邸宅が並ぶ。
 自然豊かな奥池エリア、市街地からのアプローチは芦有(ろゆう)ドライブウェイを通る必要がある。この有料道路、時折凍結等で通行止めになる。自家用車にしろバスにしろ、この道路を利用しなければ市街地に行けない。芦有ドライブウェイが通行止めになると自宅に缶詰だ。
 出社できずに困りそうにも思えるが、高級住宅街ゆえ会社員は少なく出社時間に余裕がある人が多く、案外困っている方は少ないのかもしれない。もとより、お住まいの方はその辺のことも事前に知って購入されていることであろうが。

■京都市内北部
 京都市内中心部はフラットなように見え、実は結構な高低差のある南斜面だ。市街地への玄関口となるJR京都駅あたりと金閣寺界隈では約50mほどの差がある。東寺のてっぺんが北山通の地面とほぼ同じ、ざっくりとそのような感じだ。
 京都では今出川通より北に行くと気候が変わるなどと言われる。今出川通を境に劇的に変わるかと言われればそうでもないのであろうが、在住者としてなんとなく気持ちはわかる。実際に、JR京都界隈では雨なのに丸太町通を超えて今出川通界隈ではみぞれや雪になっていることもある。
 京都御所、正しくは京都御苑があるのは今出川通と丸太町通の間。今出川通より南が洛中となる。今と昔で気候は違うだろうが、「気候の関係で今出川以南に都が置かれたのでは?」などと歴史に思いを馳せるのも面白い。

雪に困らされる地域もあれば、全く雪が気にならない場所もある。

■ほとんど雪の降らない大阪市
 六甲山以北に市域のある神戸市、山間部エリアが広い京都市。この二つの都市では、市域全体を見た場合、雪はそれほど珍しくない。だが市域に山間部のない大阪市では雪は大変少ない。と言うよりも近年はほとんど雪が降っていない。
 気象庁のサイトで調べたところ2015年以降、一度も積雪していない。また1990年代までは数年に一度観測された5センチ以上の積雪も、1998年以降は2008年の一度きりだ。「昔は雪が降っていた」と感じている40代以上の人は多いだろう。その記憶、統計で間違っていないことがわかる。

上記は関西の話だが首都圏ではまた事情が違う。しかし関東にしろ関西にしろ、大雨や台風などと違い、雪による「災害」で命の危険に晒されることは少ない。「大したことないだろう」と高を括った行動、例えば「このくらいの雪ならノーマルタイヤで大丈夫だろう」等さえなければ大事に至ることは少ない。

今回の寒波では色々なところで雪によるトラブルがあるだろう。転んでもタダでは起きない気概でこの機会に住まいの近くの雪でダイヤが乱れやすい路線、通行止めになりやすい道路等を見極めておくのが良いだろう。

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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