田中和彦が斬る!関西マンション事情 不定期
田中 和彦

[第36号]隠れ人気、シニア向けマンションのサービスとメリット

2016年10月26日

「今、旬なマンション」の関西各エリアのランキング(2016/10/22 01:15 更新)を見てあることに驚いた。シニア向け分譲マンションが1位になっていたのだ。

兵庫県内(100~199戸)の1位はマスターズマンション宝塚中山中楽坊。名前からしてわかるようにシニア向け分譲マンションだ。他のエリアでは大阪市内(100~199戸)でサンフォーリーフタウン桜ノ宮サンメゾンコート(サンヨーホームズ)が5位にランクイン。たった2件だが、「住まいサーフィン」のようなシニア向けでもない媒体の分譲マンションランキングのトップにシニア向け分譲マンションの名が挙がるのを見て、これは一つの画期だ。

シニア向け分譲マンションに明快な定義があるわけではない。概ね「医療/介護の提携サービスがある」「施設スタッフによる家事の世話等のサービスがある」といった感じだ。マスターズマンション宝塚中楽坊でも「4つのサービス」と称して「わくわく倶楽部(各種教室・サークル活動の援助)」「生活支援サービス(コンシェルジュ/レストランからの配膳)」「医療サービス(看護師半日常駐/協力医療機関の紹介)」「介護サービス(デイサービス等の業者と連携/介護メニュー(有料))」が提供されている。

しかし、コミュニティ活動の支援やコンシェルジュ、医療機関紹介などは、シニア向け分譲マンションのみならず多くの大規模マンションですでに行われているものであり目新しくはない。シニア向け分譲マンションは、介護付有料老人ホーム等とは違って、入居時に多くの費用がかからない。事業者側からみると、販売後には管理費などの月額費用しか収入がなく、継続する必要のあるサービスはその中で賄う必要がある。どうしても「分譲マンション並み」のサービスとなってくる。

とはいえ、マンションを売却・相続・賃貸できるメリットは大きく、一時金に数千万円(もしくはそれ以上!)かかり、それが戻ってこないような施設と比べて親族の了解は得やすく、今後は老後の住居としての選択肢として今以上に注目されることになるであろう。

今のところは、分譲マンションにおけるシニア向けマンションの割合は少ない。関西において、分譲マンション大手が手がけるものとして目につくところでは「エイジングコート」シリーズ(プレサンス住販)などわずかしかない。首都圏では「デュオセーヌ」シリーズ(フージャーズグループ)などが複数マンションを分譲しているし、コスモスイニシアも「グランコスモ」シリーズを手掛け出した。これからも、別の大手デベロッパーが参入してくるに違いない。

今よりもさらにシニア人口は増える。まだ黎明期の「シニア向け分譲マンション」であるが、今後は色々と進化を重ね、その数は増えていくであろう。ほんの数年もすれば「今、旬なマンション」の半数が「シニア向け分譲マンション」なんてことになるかもしれない。


■近畿圏の「今、旬なマンション」はここから
最新の今、旬なマンションは以下ページから確認できる
https://www.sumai-surfin.com/product/ranking/re_rank_season.php?m=1&t=1&a=11&utm_source=ss&utm_medium=columnTanaka&utm_campaign=sumitaimachi161026

この記事の編集者

田中 和彦

株式会社コミュニティ・ラボ代表。マンションデベロッパー勤務等を経て現職。
ネットサイトの「All About」で「住みやすい街選び(関西)」ガイドも担当し、関西の街の魅力発信に定評がある。

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