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「100年マンション」や「100年コンクリート」という言葉がありますが、本当に100年も住めるのでしょうか。
築年数が経っている中古マンションの購入を検討していて、耐久性や寿命が心配な方もいらっしゃると思います。
今回の記事では、マンションの耐用年数や寿命に関係する要素について、詳しく解説していきます。
目次
1. マンションの寿命とは?法定耐用年数との違いは何?
建物には、その構造や用途に応じて「法定耐用年数」というものが定められています。
マンションの場合は47年とされています。
マンションの法定耐用年数=寿命ではない
耐用という言葉を聞くと寿命をイメージしがちですが、実際には、法定耐用年数は建物の寿命には直接結びつきません。
法定耐用年数とは、固定資産などの減価償却費の計算に使用される年数です。
一般的に建物などの資産は、時間の経過や使用と共に価値は下がると考えられています。そのため、固定資産税は減価償却という決められた会計ルールに則って算出されます。
毎年減価償却され、法定耐用年数を超えると、税務上では価値がゼロになるということです。
しかし、税務上で価値がゼロになっても、建物に住めなくなるわけではありません。
それなら中古マンション購入の際に法定耐用年数は気にしなくて良いのかというと、実は気にした方が良い場合もあります。
それは、住宅ローンを借りる場合です。
金融機関によっては、法定耐用年数も住宅ローン審査の基準となります。
融資期間内に法定耐用年数を超えてしまう場合、金融機関はリスクを回避するために融資しない判断をすることがあるので注意しましょう。
マンションの寿命とは
そもそも、マンションの寿命とはどういう状態のことを言うのでしょうか。
法律などで定義されているわけではありませんが、一般的には「マンションが竣工されてから、建て替えまたは取り壊しされるまでの年数」とされています。
国土交通省は、マンションを修繕するか建て替えするかを判断するためのマニュアルを作成しています。
基本フローによると、建て替えするかどうかは「現マンションの老朽度と区分所有者の不満やニーズを把握し、要求する改善水準を設定。それを修繕・改修で実現する場合と建て替えにより実現する場合との改善効果と所要費用を比較して判断を行う」ようです。
2. マンションの寿命に関係する要素
法定耐用年数はマンションの寿命ではないということをご説明しました。
それでは、マンションの寿命はどれくらいなのでしょうか。
2011年に専門家が行った調査によると、鉄筋コンクリート造の住宅の平均寿命(この調査上では、残存率が50%となる期間を寿命とする)は68年でした。
また、構造体としての鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄筋コンクリートの耐用年数は120年、外装仕上工事によりメンテナンスすると150年ということです。
参考:期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について
参考:建物の寿命と耐用年数
それでは実際にマンションは70~120年経ってから寿命を迎えているかというと、そうではありません。築30~40年で建て替えすることになったマンションもあります。マンションによって建て替えまでの年数は様々です。
ここからは、マンションの寿命に関係する要素について考えていきます。
耐震基準
耐震基準とは、最低限度の耐震能力を持っていることを保証し、建築を許可する基準のことです。
1981年以前は「旧耐震基準」で、震度5強程度の中規模地震で倒壊しないことが基準でした。
現在は、震度6強~7の大規模地震でも倒壊しない「新耐震基準」になっています。
1981年以前に建設されたマンションは「旧耐震基準」で、現在の新基準にするための耐震工事には多額の費用がかかります。
そのため、建物の寿命は来ていなくても建て替えや取り壊しをすることがあります。
立地
マンションが建っている場所が、寿命に影響を与えていることがあります。
例えば海の近くに建っている場合、塩害によってコンクリートが通常よりも劣化しやすくなります。
また、氾濫しやすい川の近くに建っていて浸水があった場合、建物や設備にもダメージがあります。
このような場所に建っているマンションが必ずしも寿命が短いというものではありませんが、影響を与える要素の1つになっています。
マンションによっては、塩害などを想定した修繕計画を立てて対策をしています。
管理・修繕状況
マンションを購入すると、管理費の他に「修繕積立金」を毎月支払う必要があります。
マンションが将来行う「大規模修繕」のために積み立てをしています。
大規模修繕をするサイクルはマンションによって違いますが、一般的には10~12年です。
大規模修繕では外壁塗装や屋上の防水塗装、給排水設備の補修などを行います。
このようにしっかりとメンテナンスや修繕をすることが大切です。
マンションによっては大規模修繕のための長期計画が作成されず、定期的な修繕が行われていないところもあります。
管理・修繕が適切に行われていないと、寿命が短くなる要因になります。
配管の構造
マンションの外壁などには問題がなくても、配管の寿命によりマンションを建て替えざるを得ない状況になることがあります。
給排水管の耐用年数は、おおよそ30年前後です。
マンションによっては、配管が下の階の天井を通っていたり、コンクリートに埋まっていたりしていることがあります。
下の階の天井を通っている場合はかなり大掛かりな工事になりますし、コンクリートに埋まっている場合は工事を行うことができません。
1960~70年代に建築されたマンションにはこのような構造が多く、配管の寿命がそのままマンションの寿命になっているようです。
3.寿命が長いマンションを見分けるには
最後に、寿命が長いマンションを見分けるための方法を見ていきましょう。
管理・修繕の状況を確認する
国土交通省が平成30年度に実施した「マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によると、長期修繕計画を作成していない管理組合が7%となっています。
また、長期修繕計画を定期的に見直していないと回答した管理組合は5.7%でした。
先ほどご説明したように、寿命を長くするためには定期的なメンテナンスや適切な管理が重要です。
中古マンションを購入する際には、管理組合の修繕計画と修繕履歴をよくチェックするようにしましょう。
また、共用部分の使用状態を確認することで、日常的にしっかり管理されているか分かります。
住宅性能表示制度やホームインスペクションで確認する
住宅性能表示制度やホームインスペクションによって、マンションの性能や現況を確認することができます。
住宅性能表示制度とは、第三者の専門家が住宅の性能を共通のルールに基づいて評価するものです。
評価の結果は、等級として数値でも表示されます。
評価の結果によっては、地震保険料の割引や住宅ローン控除に利用できることがあります。
その他にもフラット35の物件検査を省略できるなど、人によっては様々なメリットも。
ただし、マンションは共同住宅なので、評価の申請は個人ではできません。
不動産会社や管理組合に相談する必要があります。
参考:共同住宅の場合は管理組合などと相談してください(住宅性能評価・表示協会)
中古マンションの購入前に建物の現況について知りたい場合は、インスペクション業者に検査を依頼しましょう。
ホームインスペクションとは建物状況調査のことで、第三者の専門家がマンションの建物や設備の状況を調査してアドバイスをします。
不動産会社が中古マンションの売買を仲介する場合、ホームインスペクションの説明や斡旋が義務化されています。
ただし、具体的には「斡旋ができるかどうか示す」ことが義務化されているだけなので、必ずしも不動産会社は斡旋行為をしなければならないわけではありません。
インスペクションするかどうかは、結局は売主や買主次第です。
数万円の費用はかかってしまいますが、第三者が検査してくれるので安心です。
リフォームやリノベーションをするか迷っている人にとっても参考になるでしょう。
インスペクションについては、以下の記事でも解説しています。
4.まとめ
今回の記事では、マンションの寿命に関して詳しく解説しました。
分譲マンションの購入当初はずっと住むつもりでいても、その後事情が変わり、将来売却することになったという人もいます。
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