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新卒入社をして安定した収入がもらえるようになると、憧れのマイホーム購入を検討し始める方もいるでしょう。
しかし、住宅購入は人生の中で最も高いとも言える買い物。
新卒で働き始めたばかりの人でも、住宅を買うことはできるのでしょうか。
今回の記事では、新卒でマンションを購入することはできるのか、またそのメリットやデメリットについて解説します。
目次
1. 新卒でマンションを購入する場合のメリット・デメリット
まずは、新卒でマンションを購入するメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
主なメリットとしては、以下の4つが挙げられます。
- ● 自分の資産となる上、いざというときも安心
- ● 賃貸マンションよりも設備が充実していて、自由度も高い
- ● 住宅ローン返済は将来的に楽になる人が多い
- ● 将来への資産形成にもなる
自分の資産となる上、いざというときも安心
一番大きいメリットは、マンションを購入すれば自分の資産になることです。
賃貸マンションの場合、支払った家賃は戻ってきません。家賃がもったいないと感じる方もいるでしょう。
また、数年に一度、更新料がかかることもあります。
さらに、病気など何らかの事情で家賃が払えなくなると、退去しなければなりません。
一方、住宅ローンを組んでマンションを購入すると、団信に加入することになります。
団信とは住宅ローン専用の保険のことです。
高度障害状態になった場合や死亡した場合、ローン残高は0円になります。
入院したら月々のローン返済が保障される・所定のがんと診断されると残高が0円になるなど、手厚い保障をつけることも可能です。
金融機関によっては、金利上乗せではなく保険料タイプの団信も取り扱っています。
若い人は保険料が比較的安くなっているので、保険料タイプは新卒の人にも向いていますね。
このように、マンションを購入すると自分の資産になるだけでなく、万が一の事態が起きた際も賃貸マンションより安心です。
賃貸マンションよりも設備が充実していて、自由度も高い
分譲マンションは賃貸マンションよりも各種設備が充実しています。
食洗器や床暖房など専有部分の設備だけでなく、マンションによってはワークラウンジやジムなどの共用設備も豊富です。
防音性や耐震性、セキュリティ対策についても、一般的に分譲マンションの方が優れています。
また、賃貸マンションは壁に穴を開けたり好きなようにリフォームしたりすることはできません。
ペット飼育可能な物件もそれほど多くないです。
しかし、分譲マンションは間取り変更などのリノベーションもできます。
分譲マンションであっても管理規約を守る必要はありますが、賃貸マンションより自由度ははるかに高くなります。
住宅ローン返済は将来的に楽になる人が多い
新卒でマンションを購入する場合、購入時の年収を基準として住宅ローンを借り入れることになります。
新卒時はそれほど高くない年収であっても、昇進などで将来的に給与が上がる方は多いでしょう。
借り入れ当初は住宅ローン返済だけで精一杯でも、将来的には余裕ができて貯金もしやすくなります。
タイミングを見て繰り上げ返済をするのも良いですね。
また、新卒時に借り入れをすれば、返済期間を35年にしても60歳になる前に完済できます。
老後に安心して生活をしたいという方にもおすすめです。
将来への資産形成にもなる
新卒で社会に出たばかりのころは、数年先のことはまだ分からないという方がほとんどです。
結婚や転勤、さらには転職する人もいるかもしれません。
だからこそ、今マンションを購入しても良いのか悩む方は多いでしょう。
しかしマンションを購入しても、必ずしもずっとそこへ住み続ける必要はありません。
賃貸に出すまたは売却するという選択肢があります。
また、例えば都内のマンションなど資産価値が高いマンションであれば、購入時よりも高く売れるケースもあります。
購入時より値下がりしていても、売却によって含み益が出ることも。
含み益とは、マンションを売却した際に手元に現金が残ることです。
この利益を元手に、住み替えるということもできます。
賃貸マンションに住んでいると、家賃は掛け捨てになり、手元には何も残りません。
しかし、資産価値のあるマンションを購入することで、将来への備えにもなります。
デメリット
一方、新卒で購入することのデメリットもあります。
- ● 新卒の年収だと、購入できる物件が制限されることがある
- ● 勤務年数が少ないので、住宅ローン審査が通りにくい
- ● 家族構成の変化などで、住み替えが必要になることも
新卒の年収だと、購入できる物件が制限されることがある
一般的には、新卒だとそれほど年収は多くありません。
後ほど詳しく解説しますが、住宅ローンをどれだけ借り入れできるのかは年収によって決まります。
また、勤続年数が短いので、必ずしも希望する金融機関で借り入れできるとは限りません。
思っていたよりも適用金利が高いということもありえます。
そのため、購入できるマンションは限られてきます。
最近はマンション価格の高騰が続いているので、都内など希望エリアによっては、購入するのは難しい物件があるかもしれません。
勤務年数が少ないので、住宅ローン審査が通りにくい
住宅ローンを借り入れるには、審査に通る必要があります。
「勤続年数」を審査項目としている金融機関は93.6%※でした。
ほとんどの金融機関は勤続年数を考慮しているという結果になります。
※国土交通省の「令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001733623.pdf
ただし、どれくらいの年数が必要なのかは金融機関によってさまざまです。
すべての金融機関で審査が通らないというわけではないので、一つの金融機関で審査に落ちても、諦めずに他のところへ申請してみましょう。
家族構成の変化などで、住み替えが必要になることも
新卒というと、年齢は18~24歳の人が多いでしょう。
まだ20代前半、今後の人生がどうなるかは全く分かりません。
単身者用のマンションを購入しても、結婚や出産などの家族構成の変化によって、手狭になることが考えられます。
さらには転勤や介護などを理由に引っ越しをすることもあるでしょう。
その場合には住み替えが必要になります。
しかし、メリットの「資産形成」でもご説明したように、資産価値が高いマンションであればいざというときの備えになり、住み替えもしやすいです。
そのため、新卒でマンションを購入する場合は資産性についても重視することをおすすめします。
2. 新卒でも住宅ローンの借り入れをできるのか?
そもそも、住宅ローンは新卒の人でも借り入れることができるのでしょうか。
住宅ローンの審査時に「勤続年数」を考慮すると回答した金融機関は約94%※でした。
※国土交通省の「令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001733623.pdf
勤続年数は具体的にどれくらい必要なのか、気になる方も多いでしょう。
しかしほとんどの金融機関は、住宅ローン商品概要説明の「利用できる人の条件」に勤続年数を明記していません。
そのため新卒でも住宅ローンを借り入れできるのかは、審査申請しないと分からないです。
一部の銀行では条件を公表しているところがありますので、参考までにご紹介します。
イオン銀行 (イオン銀行住宅ローン※1) |
「給与所得者の方は6カ月以上勤務していること。」 「給与所得者および会社経営者の方は前年度年収100万円以上」 |
---|---|
SBI新生銀行 (パワースマート住宅ローン※2) |
「前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること。」 |
※1 https://www.aeonbank.co.jp/products_list/pdf/jyuutaku_loan.pdf
※2 https://www.shinseibank.com/retail/housing/pdf/p_loan_syousai.pdf
就職して間もない頃だと、審査に通るのは厳しいでしょう。
しかし新卒後半年~1年勤務していれば、金融機関によっては審査に通ることも考えられます。
また、フラット35という全期間固定金利の住宅ローンは、勤続年数についての条件は定められていません。
フラット35は、個人事業主のような審査が通りにくい人であっても借入れしやすい住宅ローンです。
変動金利に比べると金利は高くなりますが、金利は返済期間中一定です。
こちらも候補の一つにしましょう。
3. 新卒の年収だと、いくらのマンションが購入できる?
次に、新卒だといくらぐらいのマンションが購入できるのか見ていきましょう。
新卒で貯金が十分にあるという人は少数でしょう。
そのため、今回は頭金なしですべて住宅ローンで借り入れるとします。
新卒の年収
同じ新卒でも、人によって年収は異なります。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査※」によると、学歴別の新卒者賃金はこのようになっていました。
※ https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
新規学卒者賃金(1ヶ月あたり)※男女平均
高校 | 専門学校 | 高専・短大 | 大学 | 大学院 |
---|---|---|---|---|
18万6800円 | 21万4500円 | 21万4500円 | 23万7300円 | 27万6000円 |
会社によってはボーナス(賞与)の支給もあります。
新卒の場合、1年目の夏はボーナス無し又はわずかな額であることが多く、本格的に支給されるのは1年目の冬からという企業が多いです。
新卒の平均的な年収は、約200万円~約350万円前後といえます。
また、年収は学歴だけで決まるのではなく、職種や勤め先によっても大きく異なります。
新卒だけど、年収は500万円を超えるという方もいるでしょう。
なお、実際に自分の手元に残るお金は、社会保険料や税金などを差し引いたものになります。
いわゆる手取りと言われるものです。
一般的に、手取りは額面の約8割前後になります。
返済負担率別の借入額
それでは、年収別にどれくらい住宅ローンを借り入れできるのかを計算してみましょう。
今回の算出では、返済負担率を使用します。
返済負担率とは、年収に対して年間どれくらいの割合で住宅ローン返済するかを示すものです。
返済負担率は住宅ローンの審査項目にもなっていて、フラット35では以下のように定められています。
フラット35の返済負担率
年収 | 返済負担率 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
参考:【フラット35】ご利用条件(https://www.flat35.com/loan/flat35/conditions.html)
住宅ローン審査時の返済負担率は、25%~35%以内に設定されていることが多いです。
返済期間35年・適用金利0.45%・ボーナス支払い無しとして、返済負担率別の借入額を簡易シミュレーションしてみました。
住宅ローン借入額の簡易シミュレーション結果
返済負担率25% | 返済負担率30% | 返済負担率35% | |
---|---|---|---|
年収200万円 | 約1620万円 | 約1940万円 | 約2270万円 |
年収250万円 | 約2020万円 | 約2430万円 | 約2830万円 |
年収300万円 | 約2430万円 | 約2910万円 | 約3400万円 |
年収350万円 | 約2830万円 | 約3400万円 | 約3970万円 |
年収400万円 | 約3240万円 | 約3890万円 | 約4530万円 |
年収450万円 | 約3640万円 | 約4370万円 | 約5100万円 |
年収500万円 | 約4050万円 | 約4860万円 | 約5670万円 |
年収300万円で返済負担率を30%とすると、借入額は約2910万円になります。
月々の支払い額は74,898円です。
なお、返済負担率が高いほど、毎月の返済額は高くなります。
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2024年4月調査)※」によると、住宅購入者(住宅ローン利用者)の返済負担率は、15%超20%以内の利用割合が最も多いという結果でした。
※ https://www.jhf.go.jp/files/400370422.pdf
しかし新卒は年収が高くないため、低めの返済負担率だと多く借り入れることはできません。
月々の返済額が高くて厳しいようなら、ボーナス払いも検討する必要があるでしょう。
4. 新卒でマンションを購入する場合の注意点
最後に、新卒でマンションを購入するときの注意点についてご説明します。
奨学金を借りた人は要注意
日本学生支援機構の「令和4年度学生生活調査結果※」によると、大学生(昼間部)の約55.0%が奨学金を受給しています。
奨学金の中には一部返済不要のものもありますが、ほとんどの奨学金は社会人になったら返済しなければなりません。
※ https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2024/03/25/data22_all.pdf
住宅ローンは、奨学金を返済中の人でも借りることは可能です。
しかし、返済状況に応じて借入可能額が少なくなることはあります。
また、延滞や滞納したことがあると信用情報に記録が残ってしまいます。
信用情報に問題があると、数年間はローン審査に影響が出ることも。
奨学金を返済しながら住宅ローンを借り入れしたい場合は、必ず金融機関に相談をしましょう。
各種税金や保険料の支払いに注意
社会人になって働き始めると、所得税や健康保険料などさまざまな税金や保険料を納めなければなりません。
会社員の場合、これらは給料から天引きされます。
主な税金と保険料は下記のとおりです。
- ● 所得税
- ● 住民税
- ● 健康保険料
- ● 厚生年金保険料
- ● 雇用保険料
この中でも、住民税は社会人2年目の6月になってから納めることになります。
というのも、住民税は前年分の所得を基に課税額が決まるからです。
4月入社の場合、その年の12月までに支払われた給与と賞与が翌年分の課税対象になります。
そのため、社会人2年目からは手取りが減るということは念頭に入れておきましょう。
マンション購入時には初期費用もかかる
新卒だと貯金が十分できていない人も多いと思われますが、マンション購入のためにはある程度の現金が必要になります。
なぜかというと、印紙代や事務手数料などの初期費用が発生するからです。
一般的に、マンション購入時の初期費用は物件価格の5~10%が目安となっています。
例えば3000万円のマンションであれば、150~300万円です。
一部金融機関では、諸費用も含めた住宅ローン(オーバーローン)を取り扱っています。
それを利用することで、貯金がなくても購入することは可能です。
しかし、オーバーローンは通常の住宅ローン以上に審査が厳しくなっています。
新卒の場合は、審査に通るのは難しいと考えた方が良いでしょう。
親や祖父母から資金援助を受けるという方法もあります。
金額によっては贈与税が発生するので、注意が必要です。
マンション購入時の初期費用については、下記の記事で詳しく解説しています。
マンション購入では資産性を意識する
新卒でマンションを購入する場合、2LDKや3LDKなどのファミリー世帯用ではなく、1LDKなど単身用の家を購入する人も多いでしょう。
記事前半でもご説明したように、家族構成の変化や家庭の事情によって、住み替えせざるを得ない状況になることも考えられます。
住み替えのため売却をする場合、住宅ローン残高は一括返済することが一般的です。
注意する点として、マンション売却代金が住宅ローン残高および売却にかかる費用を下回る場合は、自己資金から充填することになります。
住み替えローンを借り入れるなどの方法もありますが、できれば売却代金は住宅ローン残高や費用よりも高くなって欲しいですよね。
資産価値が高いマンションだと値下がりしづらいので、万が一のときの備えにもなります。
詳しくは以下の記事で解説しています。
資産価値の下がりにくいマンション・一戸建ての選び方!「資産価値」は何故重要なのか?
2022/11/08
「資産価値」が「将来の安心」「万が一の備え」に繋がる理由と、「資産価値」のある家を選ぶ方法を詳しく解説していきます。
5.まとめ
今回の記事では、新卒でマンションを購入する場合の借入額や注意点について解説しました。
新卒でもマンションを購入することは可能です。
しかし、高額なマンションを購入するほど年収は高くないという方がほとんどでしょう。
満足できるマンションを購入するためには、物件選びが重要なポイントです。
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- ● 「将来値下がりしないか心配。10年後に価格がいくらになるのか簡単に分かったら良いな」
- ● 「万が一売ることになっても、売却額より住宅ローン残債の方が多かったらどうしよう。売却時点の予想利益が分かったら良いな」
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- ● 「適正な価格(沖式査定額:5,400万円)が分かれば、指値(値下げ交渉)を入れて、自分の予算内である5,500万円で強気に交渉出来るのになあ。。」
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